
世界中で愛されるベルギーホワイトビールの代名詞、「ヒューガルデンホワイト」。
そのフルーティーで爽やかな味わいは、多くのビールファンを魅了し続けています。しかし近年、生産地の変更などに伴い、その風味に変化を感じるという声も聞かれるようになりました。
この記事では、ヒューガルデンホワイトの基本的な情報から、その歴史、製法、味わいの特徴、そして最新の動向や価格情報に至るまで、詳細に解説していきます!
当サイト独自レビュー!|産地変われば味変わる。それが「テロノワール」

総合オススメ度:5.5点!
総評:グラスに注ぐと、フルーティーな香りが立ち上がり、ヒューガルデンらしいきめ細やかな泡立ちと乳白色がかかったイエローのボディーが美味しさを予感させます。
一口のむと、爽やかでフルーティーな感じが一瞬広がるものの、後半に向けてその顔が急変します。生産地が変わり水が変わったせいなのか、スパイスのバランスが崩れたせいなのか、「雑味」ときつい「酸味」がフルーティー感を邪魔してきます。そしてアフターに向けてホップ由来ではない「イヤな苦味」が「雑味」と「きつい酸味」に合わさってしまい、飲む前から口をつけた瞬間の期待感を台無しにしてしまいます。
2001年頃からヒューガルデンホワイトを飲んできたために感じてしまう変化と言えるでしょう。特に韓国生産になってからの変化が大きいですね。
ベルジャンホワイトとしての最低点は確保しているものの、昔に比べると味の劣化が大きいこと。そして値段も今の味に対して高く感じてしまうため、今回の評価は5.5点かな💦
とはいえ、ベルジャンホワイトの先駆者としての最低品質は担保しています。まだ飲んだことのない方は一度飲んでみるのもいいと思います!



後半にかけての雑味とイヤな苦味が残念感を増してしまっているね!
ただ、ぐびぐびっと一気飲みすると、イヤな感じは薄れるかも!?

でも以前のヒューガルデンホワイトの味ではないかな
ベルギー産と飲み比べたいね!

味が変わってしまって残念だよー
後半にかけての雑味とイヤな苦味が残念感を増してしまっているね!
ただ、ぐびぐびっと一気飲みすると、イヤな感じは薄れるかも!?

香りは変わらずいいね!
でも以前のヒューガルデンホワイトの味ではないかな
ベルギー産と飲み比べたいね!

ヒューガルデンホワイトとは?~世界が愛するベルジャンホワイトの王道~
ヒューガルデンホワイトは、ベルギーのヒューガルデン村で生まれた「ベルジャンホワイト」というビアスタイルを代表する銘柄です。
大麦麦芽に加えて小麦を多く使用することで生まれる白濁した外観と、オレンジピールやコリアンダーシードといったスパイス由来の独特な香りが特徴です。
ロゴの意味
ヒューガルデンのロゴには「杖」と「鍬」が描かれています。
これは、ヒューガルデン村にビールの製造方法を伝えた伝道師(杖)と、原料となる麦などを作る農民(鍬)を意味していると言われています。
ヒューガルデンホワイトの歴史と伝統
ヒューガルデンホワイトの起源は1445年からととても古く、実に600年近い歴史があります。
1445年、ベルギーの中心に位置するヒューガルデン村で、修道士たちが特別なホワイトビールを作り始めます。
引用:ヒューガルデン公式サイト
一番初めに作ったビールがとても酸味が強かったことから、彼らは当時東インドからエキゾチックなスパイスや果実をベルギーに運んでいた船に積まれていたオランダ領キュラソー島産の乾燥させたオレンジピールとコリアンダーシードを実験的に加えました。
それがヒューガルデンの始まりです。
このような経緯でヒューガルデン独特のレシピが作られました。
16世紀にはビールギルドも設立され、18世紀には村内に多くの醸造所が存在しました。
しかし、20世紀に入るとピルスナータイプのビールの台頭や戦争の影響でホワイトビールは衰退し、1957年には最後のホワイトビール醸造所が閉鎖され、一時その歴史が途絶えてしまいます。
この伝統を復活させたのが、ヒューガルデン村出身の牛乳屋であったピエール・セリス氏です。彼は1966年にホワイトビールの醸造を再開し、「デ・クライス醸造所」を設立。このビールが現在のヒューガルデンホワイトの原型となり、やがて世界的な人気を博すことになります。彼の功績により、ベルギーにおけるホワイトビールというスタイルそのものが再興されたと言っても過言ではありません。
その後、醸造所はインターブルー社(現アンハイザー・ブッシュ・インベブ社)の傘下に入り、「ヒューガルデン醸造所」と改名されました。
国際的な評価
ヒューガルデンホワイトは、国際的なビールの祭典「ワールドビアカップ」の「ベルギーホワイトビール」部門で通算6度の金賞を受賞するなど、その品質は世界的に高く評価されています。
こだわりの原材料と製法
ヒューガルデンホワイトの個性的な味わいは、厳選された原材料と伝統的な製法によって生み出されます。
主要原材料
大麦麦芽、小麦、ホップ、そして最大の特徴であるコリアンダーシードとオレンジピールが使用されます。コリアンダーシードはパクチーの種子のことで、柑橘系の爽やかな香りをビールに与えます。
製法の特徴
上面発酵(エールタイプ)で醸造されます。伝統的には、酵母と砂糖を加えて瓶詰めし、瓶内で二次発酵させることで、自然な濁りときめ細かい泡立ちを生み出します。
日本の酒税法上の分類
日本では、酒税法で定められたビールの副原料以外のもの(コリアンダーシードやオレンジピールなど)を使用しているため、「発泡酒」に分類されます。しかし、原産国のベルギーではもちろん「ビール」として扱われています。
五感を刺激する特徴:色・香り・味わい
ヒューガルデンホワイトは、その見た目、香り、味わい全てにおいて特徴的です。

外観
酵母由来の自然な濁りを持ち、乳白色がかった明るいイエローが特徴です。
グラスに注ぐと、きめ細かく豊かな泡が立ち上り、その泡持ちも長く続きます。
香り
グラスに鼻を近づけると、まずオレンジピール由来のフレッシュでフルーティーな柑橘香が感じられます。続いてコリアンダーシードのスパイシーな香りが現れ、バナナやアプリコットを思わせる複雑で華やかなアロマも楽しめます。
味わい
口に含むと、まず小麦由来の柔らかな甘みと、ヨーグルトを思わせるような爽やかな酸味が広がります。ただ、韓国生産後になってからこの酸味の強さに変化があり、韓国生産前は程よくバランスの取れていた酸味が、現在はきつくめになっています。
ホップの苦味は控えめで、オレンジピールの柑橘感とコリアンダーのスパイシーな風味が調和をみせています。これも韓国生産前は程よいスパイシー感でとても美味しかったのですが、水など土地のテロノワール(土地の個性)の変化なのか、スパイスの味のバランスが悪く「雑味」と感じてしまいます。また、アフターにかけてホップの爽やかな苦味とは違うイヤな苦味が雑味と共に余韻に残ってしまい、せっかくのホワイトビールの風味を殺してしまっているのがとても残念です。
炭酸はホワイトビールらしくきめ細かです。
軽快でスムーズな飲み口が特徴のビールのはずですが、以前より雑味とイヤな苦味が後を引いてしまう分、軽快さを失っています。
とはいえ、生産地が変わりテロノワールの変化があったとしても、ホワイトビールとしての最低限はしっかりと確保しているのが長い歴史の中で作られた安定した品質なのでしょう。
ヒューガルデンホワイトの魅力:なぜ多くの人に愛されるのか(ポジティブな側面)
ヒューガルデンホワイトが長年にわたり世界中で支持されているのには、いくつかの理由があります。
飲みやすさ
苦味が少なく、フルーティーで爽やかな味わいのため、普段ビールをあまり飲まない人や、ビールの苦味が苦手な人からも「飲みやすい」「美味しい」と好評です。
実際に、「ヒューガルデンホワイトがきっかけでビールが好きになった」という声も少なくありません。

ヒューガルデンホワイトを始めて飲んだのは2001年頃! ホワイトビールってこんなに美味しいんだ!って感激したことを覚えているよ!
個性的な風味
オレンジピールとコリアンダーシードが生み出す独特の清涼感と華やかな香りは、他のビールではなかなか味わえない個性的なものです。

地ビールやクラフトビールブームの前は、特徴的なビールって本当に少なかったよね!
食とのマリアージュ
その爽やかな風味は、サラダやシーフード、鶏肉料理など、さまざまな料理と良く合います。
特に軽めの料理との相性が抜群で、食事の味わいを引き立てる食中酒としても優れています。

ベルギー産を知っている身としては、韓国生産になってからの残念感は確かにあるけど、それでもこの良さは残っているよね!
ブランドイメージとリニューアル
特徴的な六角形のグラスや、洗練されたブランドイメージも魅力の一つです。
2024年春にはパッケージデザインがリニューアルされ、オレンジとコリアンダーをモチーフにした爽やかなデザインへと一新されました。
同時に価格も見直され、以前よりも手に取りやすい価格設定になったこともファンには嬉しいポイントです。

知っておきたい近年の変化と注意点(ネガティブな側面と客観情報)
多くの魅力を持つヒューガルデンホワイトですが、近年いくつかの変化や注意すべき点も指摘されています。
生産国の変更
ヒューガルデンホワイトの親会社であるアンハイザー・ブッシュ・インベブ社の方針により、近年、アジア市場向けの製品を中心に生産国が変更されています。
日本で流通しているヒューガルデンホワイトの多くは、韓国のOBビール光州工場で生産されたものとなっています。以前は瓶製品については、ベルギー産のものも見かけましたが、今では瓶でもほとんどが韓国産となっています。
味の変化に関する意見
この生産国の変更に伴い、従来のベルギー産と比較して「味が変わった」と感じる消費者の声が散見されます。
具体的には、「よく見ろ韓国産だぞ 香りも味も薄く「悪質で粗悪」と感じます。」「これは韓国産 ヒューガルデン好きなのに、なんか微妙…と思ったら韓国産でした。ベルギー産の方が美味しいのでしょうね。」「本場のヒューガルデンには程遠い 缶のヒューガルデンは味が薄くシャビシャビで驚くほど美味しくありませんでした。残念です。」
(出典:Amazon(1)(2))といった意見です。
容器による違いの可能性
前述の通り、瓶製品と缶製品では原産国が異なる場合があり、それに伴い味わいにも違いを感じるという指摘があります。ベルギービール本来の味わいを求めるファンからは、ベルギー産の瓶製品を好む声も聞かれます。

瓶でも最近は韓国産のものばかり・・・。ベルギー産のものを見つけるのは難しくなっているよ!
品質管理・表示に関する指摘
一部の口コミでは、配送時の梱包不良による瓶の破損やグラスの欠け、原産国表示の混乱、賞味期限が短い製品が届いたといった品質管理や表示に関する問題点が報告されています。
スパイスの好み
ヒューガルデンホワイトの特徴であるコリアンダーシードの風味は、一部の人にとっては好みが分かれる可能性があります。
これらの情報は、購入時の参考として留意しておくとよいでしょう。
価格情報:どこでいくらで買える?
ヒューガルデンホワイトの実売価格の目安は以下の通りです(2025年5月時点)。
- 330ml瓶
- 1本あたり約270円~440円(税込)。2024年のリニューアル後の価格目安は約299円とされています。
- 330ml缶
- 1本あたり約278円(税込)がリニューアル後の価格目安とされています。
- 24本ケース:
- 瓶(330ml×24本):約6,399円~9,133円(税込)
- 缶(330ml×24本):約6,028円~7,250円(税込)
主な販売チャネルとしては、全国のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、酒販店、そしてAmazonや楽天市場などのオンラインストアで購入可能です。

ヒューガルデンホワイトを最大限に楽しむために
ヒューガルデンホワイトの魅力を最大限に引き出すための飲み方をご紹介します。
- 推奨される飲み方
- まず、ビールを6~8℃によく冷やします。
- 専用の六角形のグラス(または口の広いグラス)を45度に傾け、ビールの2/3をゆっくりと注ぎます。
- 次に、ボトル(または缶)の底に沈殿している酵母を混ぜるように、容器を数回ゆっくりと回します。
- 最後に、グラスを垂直に戻しながら、豊かな泡がグラスの縁から指二本分程度の高さになるように、残りのビールを全て注ぎ入れます。
- 専用グラスについて
- ヒューガルデン専用の六角形のグラスは、肉厚な作りで手の熱がビールに伝わりにくく、また、豊かな香りをグラス内に留める形状になっています。現在は非売品となっています。
総括:ヒューガルデンホワイトの現在地
ヒューガルデンホワイトは、約600年の伝統を受け継ぐベルギーホワイトビールの傑作であり、その爽やかでフルーティーな味わいは今も多くの人々を魅了しています。
オレンジピールとコリアンダーシードが織りなす唯一無二の風味と、苦味の少ない飲みやすさは、ビール初心者から愛好家まで幅広い層に支持される理由となっています。
一方で、グローバル化の波の中で生産体制が変化し、特に韓国産への移行に伴う味の変化については、消費者の間で様々な意見が出ています。慣れ親しんだ伝統的なヒューガルデンホワイトの味を求める長年のファンと、新しい環境で生産される製品に対する評価とが交錯しているのが現状と言えるかもしれません。
購入の際には、原産国や容器(瓶か缶か)、そして自身の好みを考慮し、情報を吟味することがより満足のいくビール体験に繋がるでしょう。
ヒューガルデンホワイトが持つ本来の魅力と、現代における変化の両面を理解した上で、あなたにとっての「最高のヒューガルデン体験」を見つけてみてくださいね!
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