
秋の深まりとともに恋しくなるのが、円熟した味わいが魅力の日本酒「ひやおろし」。
数あるひやおろしの中でも、新潟県・峰乃白梅酒造が手掛ける「菱湖(りょうこ) 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし」は、毎年多くの日本酒ファンを虜にする特別な一本です。
この記事では、岡山県産「備前雄町」を100%使用し、一夏を越えて丁寧に熟成されたこの純米大吟醸酒の魅力について、その特徴から実売価格、蔵元のこだわり、美味しい飲み方まで、詳しく掘り下げていきます。
当サイト独自レビュー!|古き新潟と新しい新潟の融合

総合オススメ度:6.5点!
総評:グラスに注ぐと、メロンやライチを思わせるようなフルーティーな香りの中に、落ち着いたどことなく懐かしさを覚える昔ながらのお酒の匂いが混じります。一夏寝かせて熟成させたことで生まれた風味なんでしょうね! また、時間経過とともにバナナのような香りに変化します。
口に含むと始めはフルーティーな香りと共にお米の甘さと旨さがブワッと広がりますが、後半は反対に爽やかにキレ良のいい後口、そして昔からの新潟のお酒って感じの風味がふわっと広がります。今の流行りのトレンドと昔ながらの骨太の日本酒との合体って感じですね! 華やかさだけではない骨太感。きっとここでも一夏の熟成が生きているのだと思います。
結論として飲み初めと飲み終わりとで、印象が変わるお酒です。一夏の熟成がいい仕事をしているのでしょうね!
そしてさらに1日・2日経つと、日毎にまろやかさになり美味しさが増します。日が経つごとの変化も楽しめるお酒です。
あと、きっと熱燗も合うと思います!



飲んでみると、初めは新しいお酒って感じなのに、後半は昔ながらのお酒って感じになる
変化を感じる面白さがあるね!

食中酒にいいね!
フルーティーな香りはあるけど、昔ながらの日本酒って感じもあるね!

フルーティーな香りの中に、どことなく懐かしい昔ながらのお酒の匂い!
飲んでみると、初めは新しいお酒って感じなのに、後半は昔ながらのお酒って感じになる
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封を開けた日よりも、次の日の方がまろやかで美味しい!
食中酒にいいね!
フルーティーな香りはあるけど、昔ながらの日本酒って感じもあるね!
菱湖 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし とは?
「菱湖 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし」は、新潟県新潟市に蔵を構える峰乃白梅酒造が手掛ける秋季限定の純米大吟醸酒です。
岡山県産の酒米「備前雄町」を100%使用し、麹米45%、掛米50%まで磨き上げた贅沢な仕込みが特徴。
冬に搾った新酒を一度火入れし、約7ヶ月間の瓶貯蔵でじっくり熟成させることで、ひやおろし特有のまろやかで深い味わいが生まれます。
「ひやおろし」の魅力
「ひやおろし」とは、冬から春にかけて搾られた新酒に一度だけ火入れ(加熱処理)を行い、夏のあいだ蔵でじっくりと貯蔵・熟成させ、秋になってから出荷される日本酒のことです。
暑い夏を越すことで新酒の荒々しさがとれて丸みを帯び、香味が整い、旨味が増すと言われています。
この菱湖も火入れ後に約7ヶ月間の瓶貯蔵を経てゆっくりと熟成された味わいが特徴で、秋の味覚とともに味わうのに最適な一本として知られています。
基本スペック
項目 | 詳細 |
蔵元 | 峰乃白梅酒造(新潟県新潟市) |
特定名称 | 純米大吟醸 |
原料米 | 岡山県産 備前雄町 100% |
精米歩合 | 麹米45%、掛米50% |
アルコール度数 | 16度 |
日本酒度 | ±0(一部店舗で-5や+2の表記あり) |
酸度 | 1.4〜1.6 |
状態 | 火入れ(1回) |
熟成期間 | 約7ヶ月瓶貯蔵 |
保管方法 | 冷蔵推奨 |
このお酒は、全国約10店舗の特約店限定で販売される蔵出し本数限定酒であり、入手困難なレアアイテムとしても注目されています
製造元「峰乃白梅酒造」と「菱湖」ブランドについて
峰乃白梅酒造の歴史と特徴
峰乃白梅酒造は、新潟県新潟市西蒲区(旧巻町)に蔵を構える酒蔵です。
創業は1624年(寛永元年)創業と400年を超える歴史を持ち、その歴史の中で培われた伝統技術と新しい感性を融合させた酒造りを行っています。
その取り組みやこれからについて、峰乃白梅酒造では次のように話しています。
近年の日本酒離れの波を押し返すべく、淡麗辛口タイプの酒質が多い新潟の地で芳醇旨口タイプを軸として“新しい”日本酒造りに挑戦しています。雄大な平野と山や海などの自然の中で昔ながらの方法と新しい技術でこれからも酒を醸していきます。
引用:峰乃白梅酒造

淡麗旨口! 確かにそんな感じのお酒だね!
「菱湖」ブランドの誕生とコンセプト
「菱湖」は、峰乃白梅酒造が展開する特約店限定ブランドです。その名は、蔵の地元・新潟市西蒲区ゆかりの江戸時代の書家「巻菱湖(まきりょうこ)」に由来しています。
このブランドは、福島県の有名蔵で酒造りを学んだベテラン杜氏を中心に、地元の若者たちとともに醸されていて、蔵の方針の通り、伝統的な新潟の淡麗辛口とは一線を画して米の旨味をしっかりと引き出した「芳醇旨口」タイプのお酒となっています。
上品な甘みと芳醇な香り、そして後口のキレの良さが特徴で、一度味わうと記憶に残るような魅力的な酒質を目指しています。
蔵元の酒造りへのこだわり
菱湖のひやおろしは、杜氏の「飲み飽きしないライトな味わい
」への意識が反映されています(出典:SASAS.jp)。
仕込みの段階でアミノ酸を抑えることを意識し、米を溶かしすぎないように丁寧な醪(もろみ)管理を行っています。
発酵の過程では、櫂入れ(かい入れ:タンク内の醪を混ぜる作業)を一切行わず、温度調整と追い水(発酵中の醪に仕込み水を加えること)だけで管理することで、その繊細な味わいを実現しています。
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味わいと香りの詳細レビュー
「菱湖 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし」は、その名の通り、酒米「備前雄町」のポテンシャルを最大限に引き出した、複雑で奥行きのある香味プロファイルが特徴です。
香り:華やかさと変化の妙
グラスに注ぐと、まずメロンやライチを思わせる芳醇で華やかな吟醸香が立ち上ります。これは「酢イソ系」と表現される酵母由来の香りで、特にひやおろしとして夏を越すことで、香りが綺麗に整い、より洗練された印象になります。また、おそらく一夏の熟成の結果だと思われますが、どことなく懐かしい昔ながらの日本酒の匂いもその華やかな香りの中に混じってきます。そしてそれらの匂いは闘うことなく気持ちのいいバランスとなっています。
そしてこの香り、時間が経過するにつれて、このフルーティーな香りは徐々にバナナのような甘く熟した香りへと変化していくのが、このお酒の面白いところです。
一杯の中で複雑な香りのグラデーションを楽しめるのは、純米大吟醸かつ熟成酒ならではの魅力と言えるでしょう。
味わい:優しい甘みと円熟の旨味、そしてキレ
口に含むと、まず感じるのは上品で優しい甘みです。備前雄町らしい、ふっくらとした米の旨味が舌の上で豊かに広がります。
約7ヶ月間の瓶貯蔵による熟成は、味わいに深みと複雑さをもたらすだけでなく、角が取れた非常になめらかでまろやかな口当たりを生み出しています。新酒のフレッシュさとは異なる、落ち着いた円熟味が特徴です。
しかし、ただ甘くまろやかなだけではありません。日本酒度±0、酸度1.6前後という数値が示すように、甘みと酸味のバランスが良く、後口には適度なキレが感じられます。このキレによって、前半のお米の旨味と甘みを感じるテイストから一転、辛口のようなさっぱりした飲み口に変化して、前半と後半でお酒の印象が変わります。一口で二度楽しめるところもこのお酒の特徴でしょう。また、このキレがあることで、飲み飽きせず、次の一杯へと誘います。
口当たり・後味:優しく包み込み、軽やかに抜ける
熟成によって引き出された、優しく舌を包み込むようなまろやかな口当たりが印象的です。
そして、雄町米由来の心地よい旨味の余韻を残しつつも、後味は驚くほど軽やかにスーッと抜けていきます。そして残る心地の良いどことなく懐かしさを覚える余韻。
この「ライトな味わい」と心地よい余韻こそ、杜氏が目指した飲み飽きしない酒質の現れと言えるでしょう。
製造工程とこだわりのポイント
菱湖のひやおろしは、その味わいを実現するために、原料米の選定から仕込み、熟成に至るまで、細部にわたるこだわりが見られます。
原料米「備前雄町」へのこだわり
主原料である米には、岡山県産の「備前雄町」を100%使用しています。
備前雄町は、100年以上の歴史を持つ古い品種であり、心白(米の中心部にあるデンプン質の部分)が大きく、タンパク質や脂質が少ないため、雑味の少ないクリアな酒質と、ふくよかで複雑な旨味を引き出すことができる酒造好適米として知られています。
ただ、その栽培の難しさが故に戦中〜戦後にかけて生産がほぼ途絶え、「幻の酒米」と呼ばれた時期もありましたが、前述のような特徴と雄町ならではの濃醇な味わいがあることから岡山県を中心に栽培が再開され、近年注目を浴びている酒米です。
この米の特性を最大限に活かすことが、菱湖の味わいの核となっています。
贅沢な精米歩合
精米歩合は、麹米(こうじまい:麹造りに使う米)で45%、掛米(かけまい:醪の主原料となる米)で50%と、この貴重な備前雄町を贅沢に磨き上げています。米の外層部にあるタンパク質や脂質を丁寧に取り除くことで、よりクリアで洗練された香りと味わいを実現しています。
全量限定吸水による洗米
洗米工程では、「全量限定吸水」という手法が用いられています。
これは、米粒に吸わせる水分量を厳密にコントロールすることで、最適な蒸米の状態を作り出し、その後の麹造りや醪での米の溶け方を理想的なものにするための重要な工程です。
火入れと丁寧な瓶貯蔵
醸造されたお酒は、火入れ処理が施された後、約7ヶ月間にわたり瓶の状態で貯蔵されます。
この瓶貯蔵によって、お酒はゆっくりと熟成を進め、味わいに丸みと深みが増し、香りはより華やかに、そして複雑に変化していきます。
蔵元の冷蔵庫で丁寧に管理されることで、最適な熟成環境が保たれています。
おすすめの飲み方とペアリング
「菱湖 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし」の芳醇な香りと円熟した味わいを最大限に楽しむための飲み方と、相性の良い料理をご紹介します。
推奨温度帯
冷やして(10℃~15℃)
メロンやライチのような華やかな香りが引き立ち、味わいのキレも感じやすくなります。スッキリと飲みたい場合におすすめです。
常温(20℃前後)
香りがより豊かに広がり、米の旨味やまろやかさが際立ちます。味わいの変化をじっくり楽しみたい場合に適しています。
おすすめのペアリング
ひやおろしは、秋の味覚との相性が抜群です。
- 魚料理:秋刀魚や鮭の塩焼き、戻り鰹のたたきなど、脂の乗った秋の魚介とよく合います。
- きのこ料理:松茸の土瓶蒸しや焼ききのこ、きのこのアヒージョなど、きのこの豊かな風味と調和します。
- 肉料理:鴨肉のローストや豚の角煮など、旨味の強い肉料理とも楽しめます。
- その他:チーズ(特にカマンベールやブリーなどの白カビタイプ)、ナッツ類、栗ご飯、柿の白和えなど、秋らしい食材を使った料理全般におすすめです。
そのライトな飲み口から、食中酒として様々な料理に寄り添うことができます。
実売価格と入手方法
「菱湖 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし」は、限定流通品のため、入手できる場所や時期が限られています。
実売価格(税込)
720ml: 2,750円
1.8L: 5,500円
(2025年5月時点の販売価格を参考にしています。変動する可能性があります。)
入手方法と注意点
このお酒は、峰乃白梅酒造の特約店限定で販売されています。
そのため、一般的な酒販店やスーパーマーケットでは見かけることが難しいかもしれません。
秋季限定商品であり、人気も高いため、入荷後すぐに完売してしまうことも少なくありません。見かけたら早めの購入をおすすめします。
オンラインストアでも取り扱いがありますが、在庫状況は常に確認が必要です。
保管は冷蔵が推奨されています。
口コミ・評価から見る魅力
実際に飲んだ人々の声からは、このお酒の魅力がより具体的に伝わってきます。
- 「ひやおろしらしい落ち着いた味わいですが、余韻に甘味が柔らかく広がって美味しいです。」(引用:新潟の地酒)
- 「奥ゆかしく深みある芳醇さ。一層大人な顔の菱湖印象。備前雄町×菱湖は間違いなし!」(引用:新潟長谷川屋)
- 「上品で柔らかな香りの中にも芳醇でコクのある甘みがバランスよく広がる極上の味わい」(引用:地酒蔵きなせ)
総じて、香りの華やかさ、味わいのバランスの良さ、熟成によるまろやかさ、そして飲み飽きしないライトな後口が高く評価されているようです。
まとめ:秋の夜長に最適な、芳醇で優しい一杯
「菱湖 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし」は、秋の訪れとともに味わえる、まさに季節の恵みとも言える日本酒です。岡山県産備前雄町のポテンシャルを最大限に引き出し、約7ヶ月の熟成を経て生まれる芳醇な香りと、優しくまろやかな旨味、そして軽快な後味は、多くの日本酒ファンを魅了し続けています。
メロンやバナナを彷彿とさせる華やかな香りに始まり、口に含めば上品な甘みと円熟した旨味が広がり、それでいて飲み飽きしないライトなフィニッシュ。秋の味覚との相性も抜群で、食中酒としても大活躍してくれるでしょう。
実売価格は720mlで2,750円(税込)、1.8Lで5,500円(税込)と、純米大吟醸のひやおろしとしては比較的手に取りやすい価格帯も魅力の一つです。
特約店限定の季節商品のため、見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。
秋の夜長に、「菱湖 純米大吟醸 備前雄町 ひやおろし」が織りなす、芳醇で優しい味わいの世界をじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか?
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